人や組織の「外側」のお話をしませんか?
18世紀以降、近代社会の発展に伴い人や組織のシステム化は進み、生産性を上げるための方法論も様々に開発されました。
結果、社会はかなり豊かになりましたが、同時に、深刻な環境破壊や大きな戦争など、私たちにふりかかる災厄もより大きなものとなりました。
社会の向かう方向性がおかしくなっているとき「人や組織の生産性を上げる」という私たちの仕事は、時に問題を加速する潤滑油になりかねません。
現代に至り、私たち人間は賢くなったようにも見えます。
パワハラの防止など人々の権利は守られ「心理的安全性」等々、私たちの能力を引き出すポジティブな考え方も広く認知されるようになりました。
これは、とてもすばらしいことですが、それにより私たちは幸せになることができたでしょうか?
「そうでもないかな…」とお感じの方も少なからずいらっしゃるはずです。
その背景には、ポジティブな社会のデザインや人間開発が進む反面、現代社会ではその病理は隠され、より深く潜行し、見えにくくなっている側面があります。
その視点を欠くとき、私たち支援者の行う人や組織への支援は問題を加速する潤滑油になりかねません。
人や組織の背景に目を向ける
このような問題意識をお持ちなのが、今回ゲストにお迎えする知性発達学者・現代思想家の加藤洋平さん。加藤さんは成人発達理論の我が国のトップランナーの一人として広く活動をされてこられました。
近年、同理論が我が国でも人口に膾炙する中、我が国の風土や自由主義的資本主義がまん延する社会情勢と相まって、本来目指すものとは別のかたちで使われていることに加藤さんは警鐘を鳴らします。
そして、その問題の先に抜けていくためには「人や組織そのもの」ではなく、それを創り出す私たちの思考の背景にある社会や文明のあり方にこそ目を向ける必要があるとの問題意識を持ち、研究の対象を成人発達理論から文明や社会のあり方へとシフトさせています。
自分達の思考をもう一つ外側から観る
こうした背景から、今回のライブトークでは、私たち人や組織の支援者のこれからのあり方について対話しつつ、加藤さんの問題意識の核心に迫っていきたいと考えています。
より複雑さを増す現代、私たちが本当に意味のある支援をするためには問題意識を人と組織の領域に留めていては、十分ではありません。
根本的な問題対処へはもっと外側に目を向ける必要があり、そのために必要なのは知識だけではなく自分達の思考をもうひとつ外側から観る力。
そして、その力を養うのが「哲学」です。
西洋における哲学とは単に何らかの信念体系とか、その人の考え方そのものを指すのではなく、物事に対し健全な批判を繰り返し、盲点となっているところを明らかにし、考えられる領域を広げていくための方法論です。
かねてよりビジネスパーソンに対してそのようなトレーニングを提供してきた「西洋哲学塾」に御注目いただき、設けられた今回の対談。
「知を携え、社会と関わろう」という私たちからの呼びかけです。
問題意識のスコープを広げ、私たちと一緒に世界と関わりませんか?
視界が広がるからこそ「支援の質」も「お仕事の幅」も広がりますので。
相互に問題意識をインタビューするかたちで進めます。
事前の想定では以下トピックについて対談する予定ですが、話の流れやオーディエンスの皆さまからのご質問などにより、縦横無尽に変化する可能性がありますこと、予めご了承下さい。
- 人や組織を支援する私たちが見えていないもの。
- 成人発達理論が「薬」ではなく「毒」になるとき。
- これからの時代を歩む対人支援者が知るべきキーワード。
- 気づかぬうちに燃え尽きている「成長疲労社会」。
- 加速を推し進める要因と「人間」の新たな潮流。
- 未来への処方箋と社会への問題意識。
- 開催日時:2023年4月14日(金)日本時間 20:00よりライブ配信
- メディア:西洋哲学塾 公式YouTubeチャンネルにてライブ配信
<ご視聴方法>
以下の画像をクリックするとYou Tubeのライブストリーミングページに移動します。現在は「スタンバイ」状態となっておりますが、時間になりましたら自動的に開始します。
お見逃しのないようにするためには「通知する」ボタン(ベルのマーク)が便利です。クリックしますと、時間になれば通知が入る設定となりますので是非ご活用下さい。
出演者紹介
加藤洋平(Yohei Kato)
東京都御茶ノ水生まれ。小学校から高校まで山口県光市室積で過ごす。
知性発達学者・現代思想家。
一橋大学商学部経営学科卒業後、デロイト・トーマツにて国際税務コンサルティングの仕事に従事。退職後、米国ジョン・エフ・ケネディ大学にて発達心理学とインテグラル理論に関する修士号(MA. Psychology)、および発達測定の資格を取得。
オランダのフローニンゲン大学にてタレントディベロップメントに関する修士号 (MSc. Psychology)、および実証的教育学に関する修士号を取得 (MSc. Evidence-Based Education)。
現在、オランダのフローニンゲンに在住しながら、人間発達と文明学の研究を続けている。
山田 亨(Toru Yamada)
大阪府豊中市生まれ。
エンタープライズ企業の役員〜事業部長クラスのリーダーシップ開発を支援するほか、近年はリベラルアーツ教育家としても活動。
「全人格経営リーダーシップ教育」を掲げるISL至善館の提供する経営者育成プログラムにも参画。
西洋哲学塾 塾長。東京官学支援機構専務理事。
官僚として霞ヶ関に約12年間勤務し、北海道・沖縄対策などの地域対策や首相官邸との調整、予算規模数百億円の独立行政法人の監督などに従事してきた職歴も持つ。
加藤洋平さんの新刊です。
成人発達理論から考える成長疲労社会への処方箋
新自由主義的社会における「人生を豊かにする」実践的成長論
【内容紹介】
『なぜ人と組織は変われないのか』『ティール組織』などの書籍の刊行により、成人がどのようなプロセスとメカニズムで成長していくのかを扱う成人発達理論が少しずつ人材開発や組織開発に取り入れられつつある中で、その理論が成長を促すというよりも、成長を強要する形で利用されるケースが見られるようになってきました。
さらには、組織からの成長の圧力のみならず、自らを成長に駆り立てることによって、うつや過労死といった成長疲れとも言える状況に陥っている人たちも多く見られるようになってきました。
そうした状況を鑑みて、本来健全な成長を促すための成人発達理論がどのような社会的な風土や仕組み、特に新自由主義的資本主義が遍満するようになった日本において不本意に活用されてしまっているのか、また私たちに成長疲れを引き起こす社会的な要因は何なのかを分析し、そうした状況の改善と成長疲れからの解放に向けた実践的な処方箋を提示していきます。
【目次】
- 第1部 成長疲労社会への処方箋
- 第1章 新自由主義社会が生み出した弊害
- 第2章 成長疲労社会からの脱却
- 第3章 発達理論から真の成長を考える
- 第2部 透明化する社会への処方箋
- 第4章 デジタル環境下における管理社会
- 第3部 資本主義批判の中での成長への実践
- 第5章 悪魔的資本主義の中での成長の第3の道
- 第6章 資本主義の矛盾とポストコンベンショナルな思考
- 終 章 「成長疲労への処方箋ワーク」の発展的活用法
オンライン加藤ゼミナール
本ゼミナールは、近年、人口に膾炙し始めている成人発達理論やインテグラル理論の観点から、様々な学問領域を横断していき、ゼミナールで取り扱う理論や概念に習熟し、それらを社会課題の解決に向けて適用していく実践を参加者全員で行っていくことを目指しています(ご案内ページより抜粋)。
加藤洋平さんWebsite『発達理論の学び舎』
これまで出版された書籍のご紹介のほか、トレーニングコースや日々更新されるブログなど加藤さんの様々な情報に触れられるホームページです。
知識ゼロから西洋哲学を学びたい方へ
忙しい大人のための哲学の学び舎『西洋哲学塾』
- 我が国ビジネスパーソンへの哲学教育の先駆けとして、多くの経営者や事業主、コーチやコンサルタント達をブレイクスルーさせ、惜しまれながら閉講した「旧哲学塾」の正式な後継組織として、2021年に発足。
- マニアが自分の知的好奇心を満たすための哲学ではなく、これまで全く縁がなかった人のための、「ビジネスや人生に活かすための西洋哲学」をお伝えすることにこだわる教育と実践の場です。
- 西洋哲学は世界のエリートが学ぶ基礎科目であり、多くの成功者達にも「これを知っていたからビジネスで成功できた」と言わしめる学問です。
- 現在、経営者や企業や組織にお勤めのビジネスパーソン、個人事業主、コーチ、コンサルタント、研修講師の方など多種多様な方々が60名以上在籍。
- 塾長からの毎日の投稿記事に対するアウトプットや月一回の定例の勉強会ほかを通じて、日々、学習と実践に向き合っています。
- 参加費無料の体験イベントも予定されていますので、是非ご参加下さい(画像をクリック)。
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さまのご視聴を心よりお待ちしております。