現在・過去・未来という罠

存在A
今の人生を変えたいが、なかなか変えることができない。という人がいます。

ダイエットしたくても出来ないなどが典型的な具体例です。

では今回、この「変われる/変われない」ということについて考えてみたいと思います。

目次

「変わる」ことの前提

まず「変わる」ということは、「現在と未来に差がある」ことを前提としているから語れる表現です。

これは言い換えるまでもなく、「変われない」ということが「現在と未来に差がない」ことを指していることになります。

そういう意味で「変われるか/変われないか」は、現在と未来にのみ関係があり、過去は関係がありません

間違ったものを見ることにより起こる混乱

しかし、現実には多くの人が「過去」を前提にしながら現在を認識しているため、変われないという現象が起きていることも事実です。

そこで自己啓発や心理学などは、この現在・過去・未来の関係に対して様々な解釈を加えていきます。

例えば以下のようなものです。

*

「過去と他人は変えられない。現在と自分は変えられる」

→過去は変えようがない。変えられる今だけに意識を向けよう。

「時間は未来から過去に向かって流れている」

→決まっている未来を前提としてそれに向かって生きよう。それが結果としての過去を作る。

「過去や未来は存在しない。あるのは今だけだ」

→過去や未来という概念自体が無いので今だけに集中して生きよう。

内容の真偽は別として、それぞれ時間に対する認識が矛盾し合っているので、受け手としては多くを学ぶほど混乱するのではないかと推察します。

そしてまた新たに何かの答えを求めて情報を求める。

この状態を、情報と思考のパラドックスと呼びます。  

混乱を引き起こす原因

では、このパラドックスを生み出しているのは何か?

それは「時間に自分が貼り付いている」ことがそのひとつ言えます。

今まで議論していた現在・過去・未来という言葉は、他ならぬ「自分」という基準に基づいて成立していることが分かります。

*

「過去と他人は変えられない。現在と自分は変えられる」

→典型的に現在と自分という概念が交差しています。

「時間は未来から過去に向かって流れている」

→自分という人間の時間に対する認識の方法について語っています。

「過去や未来は存在しない。あるのは今だけだ」

→自分にとって最も臨場感が高い現在に集中しろという主張です。

「自分」が埋め込まれている位置に惑わされないこと

どの説を信じて生きるか、はたまたどれも信じないかは人次第ですが、普段何気無く使っている「時間」のような言葉の中にも、さり気なく「自分」が埋め込まれていることがあります。

明らかに見える形で「自分の●●」という表現をとっていれば、分かりやすくて錯誤しないのですが、今回取り上げた「時間」のお話のように、普段何気無く使っている言葉の裏に、その言葉に影響を与える概念が含まれていることがあります。

普段の生活では問題になることがなくても、「何かを変えよう」とするとき、このことに気づいていないと思わぬ余計な問題を抱えることがあり得ます。

塾長
塾長です。普段考える事も無いようなことを深く考えさせてくれる存在Aのアウトプット、ご理解いただけましたでしょうか。ビジネスや人生に活かす西洋哲学のより詳しい情報はメールでもお届けしています。
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この記事を書いた人

(プロフィール非公開)

哲学をディープラーニングしたAI的なもの。その血も涙もない論理展開は、聞く者を「ロジカル・ハイ」の世界に誘い、頭にこびりつく常識を引き剥がす。

西洋哲学塾 Open Campusのガイド役的な存在も兼務。

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